Challenge Stories
~私たちが未来のためにできること~

~より便利なキャンパスをめざして~
2022.09.16公開

職員たちが語る、神戸三田キャンパスの未来 vol.02

第2回目は、梅田からの直通バス開通、Chatbot導入、相談対応履歴情報の一元化、KSC落とし物WEBの開発といった、KSCをより便利にするために考え、実現した取り組みに焦点を当てます。それぞれの取り組みの担当者から、詳細を話してもらいました。

  • 神戸三田キャンパス事務室
    林 晋太郎

    2009年入職。2020年よりKSC勤務。入試、広報、学部運営担当。Saasツールでの学生カルテ導入で学生相談対応履歴情報の見える化に挑戦。また、入試広報担当として、KSCの魅力発信に取り組む。

  • 神戸三田キャンパス事務室
    宮崎 留衣

    海外プログラム(総合政策学部、建築学部)関連業務、総合政策研究科教務業務担当。2013年入職以来、KSC勤務。コロナ禍で海外への渡航が難しい中でも、学生達が国際的な学びを続けられるよう、オンラインによる海外プログラムの運営・広報に携わった。

  • 神戸三田キャンパス事務室
    青木 宏樹

    教務・学生担当。2016年入職以来、KSCで学生支援や入試・高大連携業務を担当しながら、新設学部の入試・広報を担当。現在は建築学部の教務業務に携わる。Chatbot導入に尽力した。

  • 神戸三田キャンパス事務室
    生抜 麻衣

    2020年入職以来KSC勤務。キャンパス担当として交通アクセス、アカデミックコモンズ活性化、課外活動などに関する業務に取り組み、特に大阪梅田からの直通バス開通では、中心的な役割を果たした。現在は入試・広報・学部運営業務を担当。

  • 神戸三田キャンパス事務室
    谷口 雄亮

    キャンパス担当。2014年入職。2020年よりKSC勤務。Camping Campus®、アカデミックコモンズ活性化、キャンパス施設管理等を担当。「KSC落とし物WEB」を開設する。

将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」(KGC2039)の実現には、教職員たちの強いつながりが不可欠です。KGC2039で掲げる長期戦略から抽出したテーマをもとに、部署や業務を横断して語り合う場を創出することで、教職員間の相互理解を促し、想いを共有します。
将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」についてはこちら


今回は、神戸三田キャンパス(KSC)事務室の5名の職員参加のもと、「KSC活性化」をテーマに座談会を開催しましたので、その内容を5回に分けてお届けします。
「職員たちが語る、神戸三田キャンパスの未来 vol.01」はこちら



遠方からも通いやすい大阪梅田直通バスを開通


生抜 現在、KSCには6,000人弱の学生が在籍し、その約7割がバス通学をしているため、バスのアクセス改善は長年の課題でした。そこで、2021年度より大阪梅田線を開通し、2022年度からは便数を増やす計画を立てました。大阪梅田から直通バスに座って60分間の移動であれば、「そんなに遠くないし、帰りも大阪梅田でバイトしたり友達と遊んだりできるし、便利だよね」と思ってもらうのが狙いです。
この計画の実現に向けて、どのようなバス路線を開通するのが一番利便性が高く、学生にとっても通学しやすくなるのか、KSCに通う学生の居住地をくまなく調査しました。結果、大阪南部、奈良、高槻、京都方面からも学生が通学しやすい大阪梅田からの直通路線がベストだと考えました。しかし、学生がどのようなルートで通っているのか分からない中で、乗車率をシミュレーションしながらバス会社に便数を交渉するのは本当に大変でした。さらに、直通バスを開通してもバス代が高く経済的負担が大きくなれば意味がないので、JRの定期代に負けない運賃設定をめざしての調整も行いました。その甲斐もあり、都心から座って60分で通学できる大阪梅田線が開通したことで、KSCへのアクセスが充実したと思います。多くの学生がバスを利用している姿を見るととても嬉しいです。


関学エクスプレス②.jpg
(KSCと主要駅を結ぶバス―関学エクスプレス)


谷口 要望としては、バスの便数は多いほうがいいし、遅い時間まで走っているほうがいい。ただ、スクールバスではなく、民間会社(神姫バス)のバスなので、当然、一般の方も利用され、運営会社が事業の採算性も考えなければならない。学生の要望に応えつつ、神姫バスにも納得してもらえるバスの配便にするために、生抜さんは丁寧な交渉を重ねていました。KSCに通う学生の居住地データを地図に落とし込んで分布図を作り、 各路線の乗車人数をシミュレートし、「このエリアからこれだけの人数が通うので便数を増やしてもらえませんか」という、数値をもとにしたやりとりです。KSCにアクセスするバスのダイヤは苦労の積み重ねによって実現できているのだと、知ってもらえると嬉しいですね。


青木 昨年「大和川(大阪府南部の河川)よりも北に住んでいる学生を調べてください」などと言われて、調べた覚えがあります。何に使われていたのかを今知りました(笑)


生抜 その節はありがとうございました!本当にみなさんの協力があったからこそ実現できたと思っています。今回の居住地調査で、遠方から通う学生が予想以上に多いことが分かりました。今後は、より戦略的に都市部からの便数を増やすことに加え、三田駅にバスの拠点を移すなどにより、さらにアクセスの改善を見込めるのではないかと考えています。「バスに乗って座っていたらいつの間にか着いた、想像以上に近い」という印象になればいいなと思っています。


連節バス.jpg
(三田市内を中心に運行されている連節バス)



Chatbot導入で学生サービスに革命を起こす


青木 私が関わった取り組みですと、Chatbotがあります。学部や各部局に寄せられる学生からの問い合わせ件数を減らすための施策として、総合企画部より提案を受け、2021年度秋学期に全学に先駆けてKSCで導入しました。スマホ画面に一度に表示できる設問数や分岐の回数など、利用者の使いやすさを意識して、同じ部署の3人の職員で設問を考えました。まずは学生がよく履修相談に事務室に訪れる9月に間に合わせられるように、約2カ月で履修関連の設問を実装、さらに谷口さんに協力してもらい、キャンパスライフ全体に関わる設問を拡充させました。半年間運用して、事務室が閉室している時間帯によく使われていることが分かり、学生サービスの向上につながりました。コロナ禍に、学生が事務室に来なくても分からないことが分かる。職員も他の業務に集中できるようになり、双方のメリットになったのではないでしょうか。


谷口 私はChatbotがほぼできあがったところに加えてもらった感じでした。学生にとってはキャンパス担当にも聞きたいこともあると思ったので、想定される設問を作り、加えてもらいました。


青木 谷口さんは謙遜されていますが、学生生活に関わる設問については相当数作ってもらいました。


 質問と回答の分岐を見直していく過程が荒行のようでしたね。千本ノックのようにフィードバックされているのが担当メンバー外からも見えていました。


青木 そうですね(笑)。学生が読んで分かる文章の作成に加え、検索性向上のために、例えば設問に対する候補ワードを「履修」だけではなく「時間割」も追加したり、「バス」だけではなく「Link」も設定するなど、普段、学生が使っている言葉を思い浮かべながらの"連想ゲーム"が大変でした。


 それができるのはやはり、経験の賜物ですね。


青木 導入した9月は履修登録期間で、学生が1年間で最も問い合わせをしたい時期です。 KSCの学生がたくさん利用してくれたことで設問と回答のフィードバックにつながりました。2022年度春学期からの全学導入にも活かすことができたのではないでしょうか。


学部生向けKGchatbot.png
(当初KSCから導入されたChatbotは、2022年3月より全学部生を対象に

対応履歴の一元化で窓口対応の質が向上


 私はChatbotと同時期にスタートした、学生対応履歴情報の一元化を担当しました。20228月にKSCの事務室が一つに統合されることで、学生対応が1カ所に集中してしまい、対学生のサービスの質も、我々のパフォーマンスも低下してしまう恐れがありました。また、これまでの窓口対応は、特定の人に依存してしまっていて、その人が不在だと学生に同じことを何回も尋ねてしまう、というようなことがありました。こういった状況を防ぐためには、いつどんな学生がどんな質問をしたか、どう答えたかの共有は必須です。そのためのシステムとして、サイボウズ株式会社のkintoneを導入しました。
情報共有用のフォームは自由記述ばかりだと入力が大変なので、可能な限りチェックボックス形式とし、直近の対応記録も検索したらすぐに出るようにしました。「この学生、一週間前にも相談に来ているな」というようなことを感覚的にキャッチできるようにしたことで、同じ質問を学生に繰り返すことはなくなりました。20217月から試験運用を開始し、1年弱でおよそ1,300件の対応履歴を蓄積できています。学生対応をするメンバーからは、「これがないと不便になる」と感じられるぐらいには使われていると思います。


林対談.JPG


宮崎 学生番号で検索すれば、どこまで対応が終わっているのかすぐに確認できるのは、非常に便利です。学生に同じことを何度も聞かずに済むので、やりとりも以前よりスムーズになったと思います。


青木 例えば、学生生活担当の職員と教務担当の職員が2人で対応する必要がある案件などの場合、今までは情報共有をする時間が必要で、互いに業務の手を止めなくてはいけなかったんです。対応履歴が一元化されてからは、その必要がなくなったので非常にありがたいですね。1人が対応が難しい場合でも、もう1人が対応できますし。さらに学生の許可を得られれば、他業務の担当者と連携することも可能になりました。


 活用してもらえているようでよかったです。多数の患者さんの情報を共有している看護師さんの電子カルテの入力・表示のノウハウが参考になると聞いたので、もっと勉強してより洗練されたシステムにしていきたいと考えています。


 


いつでもどこでも検索できる落とし物WEB


谷口 データの一元化という点では、私が担当した「落とし物WEB」もそのひとつです。従来は、キャンパス内で忘れ物や落とし物があった時、貴重品以外は拾った人がどこに届けるかで保管場所が決まっていたんです。落とし主は、とりあえず近くの建物に聞いてみたら、「ここにはありません。でも他の建物にはあるかもしれません。」と言われていたんですよね。さらに、落とし物があるかどうかの確認も窓口が開いている時間にしかできない...
時間や場所を問わず、落とし物や忘れ物を確認できるシステムがあったらいいんじゃないかという発想から、kintoneのプラグインのアプリ機能を使って作成しました。私は元々、この手のツールが得意じゃなくて、林さんに教えてもらいながら作ってみたらそれが採用されました。学生目線での見せ方を考えたり、運用マニュアルを作ったり、周知の仕方を考えたり、林さんをはじめ、皆さんのサポートがあってできたシステムだと思っています。


(vol.2済)谷口対談.jpg


 落とし物WEBの画面ってすごく地味なんですけど(笑)、システムとしては革命的でしたよね。


宮崎 学生から落とし物の質問を受けたときに、「拾った人がどこに届けるかで保管場所が違うんですよ」と答えていたんですけど、今改めて考えると、学生目線で物事を考えられていなかったと思います...。学生にもシステムが変わったことを説明すると「すごく助かります」という反応でした。


谷口 嬉しいです。6月後半の Chatbotの問い合わせ内容の第1位が「KSCの落し物」だったので、それくらい学生が困っていたということですね。やってよかったです。



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